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5.122025
留学生を新卒で採用するときのビザ手続き
外国人留学生を新卒で採用する企業が年々増えています。日本語が堪能で、母国語や異文化理解を活かせる人材を戦力に加えたいと考える企業は少なくありません。しかし、留学生を雇用するには「在留資格(ビザ)手続き」という大きなハードルがあります。
本記事では、外国人のビザ申請に特化した行政書士が、雇用主の皆さま向けに「留学生を新卒採用する際のビザ手続き」について、わかりやすく丁寧に解説いたします。
留学生を雇用するには「就労ビザ」への変更が必要です
現在、日本で学んでいる外国人留学生の在留資格は「留学」です。このままでは卒業後に正社員として働くことはできません。そのため、卒業後に就職する場合は「就労可能な在留資格」へと変更する必要があります。
新卒で企業に就職する場合、最も多く利用されるのが「技術・人文知識・国際業務」という在留資格です。これは、理系・文系いずれの職種でも対応可能な代表的な就労ビザです。
在留資格の変更申請は、原則として外国人本人が出入国在留管理局に対して行いますが、企業側が提出書類を準備し、内容を正確に整えることが非常に重要です。企業の協力がなければ、手続きはスムーズに進みません。
採用前に企業が確認しておくべきポイント
留学生を新卒採用するにあたって、企業が事前に確認すべきポイントを整理しておきましょう。
- 留学生が大学、大学院、短大、専門学校等の卒業見込みであるか(※専門学校の場合は、日本の専門学校で「専門士」の称号を得られる課程である必要があります)
- 業務内容が学んだ内容(専攻)と関連しているか
- 雇用契約内容(業務内容、給与額、勤務時間等)
- 卒業証明書や成績証明書の準備時期
特に、業務内容と学歴の関連性は審査の重要ポイントです。例えば経済学部出身の方を経理職で採用するのは自然ですが、文学部出身の方をプログラマーとして採用する場合、しっかりと業務との関連性を説明できなければ不許可になることもあります。
「技術・人文知識・国際業務」とは?
この在留資格は、大きく分けて以下のような業務に該当します:
- 技術職(情報システム、機械設計、建築設計など)
- 人文知識職(経理、人事、営業、企画など)
- 国際業務(通訳、翻訳、海外取引対応など)
いずれも「専門的な知識やスキルを必要とする業務」であり、単純労働(工場ライン作業、清掃、接客メインの業務など)は対象外です。
例えば、通訳として採用するとしても、実態としてレジ業務や品出しがメインであれば不許可となる可能性が高くなります。実際の業務内容と申請書に記載する内容との整合性には注意が必要です。
申請の流れとスケジュール感
在留資格変更の手続きは、秋頃から準備を始めるのが理想です。
- 内定通知(できれば前年の秋までに)
- 雇用契約書・業務内容の確定
- 卒業見込証明書・成績証明書の取得
- 企業側で雇用理由書を作成
- 出入国在留管理局への在留資格変更許可申請
- 審査期間(通常1~2か月)
ビザの結果が出るまでは「留学ビザ」のままで就労できません。なお、3月卒業・4月入社のケースでは、3月末までに「在留資格変更許可」が下りるように準備する必要があります。入国管理局では、留学生の就労ビザへの変更申請を毎年12月から受け付けていますので、できるだけ早めに書類の準備を始めましょう。
企業がサポートすべきポイント
外国人本人にすべて任せるのではなく、企業として以下のようなサポートが求められます。
- 雇用理由書の作成・内容の確認
- 雇用契約書などの提出書類の整備
- 在留資格手続きの流れや必要書類の説明
- 入社後も在留期限や更新手続のフォロー体制の確立
特に雇用理由書は審査上非常に重要な書類です。形式的な内容ではなく、なぜこの外国人を採用したのか、どのような能力を期待しているのか、具体的かつ説得力ある記載が求められます。
行政書士に依頼するメリット
在留資格の手続きは一見すると簡単に思えるかもしれませんが、審査基準に合っていない内容や、記載ミスがあるだけでも、本来であれば許可されるケースで不許可になるリスクがあります。
そのようなリスクを避け、確実に手続きを進めるためには、行政書士への依頼が有効です。行政書士に依頼することで、次のようなメリットがあります:
- 専門的な視点からの書類チェックと修正
- 企業と留学生の間の調整・説明
- 不許可リスクを回避するためのアドバイス
- 最新の審査傾向や実務情報の提供
特に初めて外国人を雇用する企業にとっては、行政書士のサポートがあることで、安心して手続きを進めることができます。
まとめ|外国人留学生の新卒採用には「準備」がカギ
外国人留学生の新卒採用は、単に内定を出すだけでなく、その後の在留資格の手続きをしっかり行う必要があります。採用したいという想いがあっても、ビザが下りなければ働いてもらうことはできません。
当事務所では、外国人雇用に不慣れな企業様でも安心して手続きを進めていただけるよう、丁寧にサポートいたします。初回相談は無料です。お気軽にお問い合わせください。
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